前回のつづきになりますが、
まず、胃ガン・大腸ガンが
「内視鏡で取れるかどうか」は
そのガンが見つかった時点で、
ほぼ決まっています!!
ここでも、
治療法を選ぶときのポイントである、
■ガンの進行具合(拡がり)
■ガンの性質
がキモで、特に前者が重要です!
内視鏡治療の場合(EMR・ESD)、
表層から深くても3番目の層までを切り取るわけですから、
ガンがそこよりも深く入っていれば、
その治療では取りきれないのです。
つまり、
「見つかった時点で、そのガンがどれだけ深くまで入っているか?」
にかかってくる、ということです。
判断に迷う症例もありますが、
きちんとした内視鏡の研修・経験を積んだ内視鏡医であれば、
内視鏡所見から、ほぼ正確に、
そのガンの深さを推測することができます。
全国的な治療ガイドラインでは、
3番目の層(粘膜下層)の浅い部分までがその適応とされています。
具体的には、
胃では表面から0.5~1mm、
大腸では表面から1mm ほどです。
なぜその深さかというと、
その深さを越えてしまうと、
極端に周囲へ飛んでいる率(転移)が高くなるためです。
親玉の主病変をきれいにとっても、
散らばった子・孫病変を取りきることができず、
いずれは、
その場所や周辺から再発してしまうのです。
ですから、
こういったケースでは、
全層(5層)もしくは、周囲ごと大きく切り取る必要があるため、
外科手術:開腹/腹腔鏡下手術が必要になります。
ちなみに、
たまに聞かれますが、
腹腔鏡手術と内視鏡治療とは、
まったく異なる治療法になります。
腹腔鏡手術は下記のように、
お腹の表面にいくつか穴をあけて、
そこからカメラ付きの器具を腹腔内(内臓と皮膚の間のスペース)に入れ、
外側から切っていきます。
腹腔鏡下手術
私は手術専門の外科医ではありませんので、外科手術についての詳細は割愛しますが、
基本的には、
胃も大腸も、
部分切除/全摘出+周囲のリンパ節ごと切り取って、
残った端と端をつなぐ(吻合する)ことになります。
昔より外科手術も大きく進歩し、
大きくおなかを開けずに、
小さいキズで手術ができるようになったとはいえ、
やはり、
「手術」となると、
術中・術後合併症を含めた体への負担は大きいものです。
ですから、
まずは、
内視鏡で切り取れる段階で発見できれば、
おなかを切る手術を回避でき、
それを過ぎても、
手術できる段階で見つかれば、
大きく切り取ることで根治が目指せます。
残念ながら、
内科(内視鏡)でも、
外科(手術)、
でも「切れない」場合は、
その他の治療に頼らざるを得ませんが、
からだへの負担が大きい割には、
その治療効果は「切る」のと比べると・・・
・・・というのが現実なんですね。
抗がん剤や放射線治療の専門家が聞くと、
また物議をかもすかもしれませんが・・・、
これが現実です!!
現実は、突き詰めれば、
実にシュールで、シンプルなものです。
胃・大腸ガンに限らず、
★「すべてのガン治療に関して、
早期発見に勝る治療法はない!!」
ということです。
(⇒※早期発見・予防)
とにもかくにも、
いきなり胃・大腸カメラのハードルが高ければ、
市町村の健康診断でも、
職場健診でも、
人間ドックでも、
単発のガン検診でも、
★なんでもいいので、
許容できるものから検査を受けましょう!!
(※健診メニュー 健診・ドック)
医療現場にいると、
「家族に勧めらて仕方なく・・・」と
イヤイヤ受けた検査で、
ご自分の生命を、
その後の人生を、
周囲の大切な人との時間を・・・
救われた人って、
意外と多いものですよ!
さて、ここまで、
「胃・大腸がんシリーズ」として8回に渡り、お話して参りましたが、
今回で予定の大枠はほぼ終了です。
今後は、
お問い合わせの多いものを中心に、
内視鏡画像を中心とした胃・大腸ガン特集や、
頻度の高い疾患・症例などを少しずつご紹介できたらと思います。
★まずはご自身の健康に関心をもち、簡単な検査からでいいので、検査を受けましょう!!
当院は
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
の専門施設です。
経験豊富なスタッフ
(内視鏡専門医、内視鏡専門技師)
と、
最新の医療機器・設備を整えて、
あなたをお待ちしています!