大腸ポリープとは
ポリープは粘膜にできた腫瘍で、放置しているとガン化して大腸ガンになることがあります。大腸ガンのほとんどは「大腸ポリープ」から発生してくるといわれています。
ということは、発ガンを予防するためには、「大腸ガンが出てくる(ガンになる)前に、大腸ポリープを治療すればいい」ということになります。
胃ガンの「ピロリ菌の除菌」と同じ考え方で、大腸ガンの場合、それが『大腸ポリープ切除』です。
当院では、その場で治療可能と判断した病変については、そのままポリープを切る治療(日帰り大腸ポリープ切除)を行っています。
大腸ガンは死なないがんのひとつ
近年、大腸ガンは増加傾向にあり、その死亡率は、男性では肺がん・胃がんに次いで3位ですが、女性では肺ガン・乳ガンを抑えて、ついに「1位」になりました。
以前は大腸カメラを避ける傾向にあった女性も、大腸カメラを受ける機会が増え、その結果、大腸ガンと診断される機会が増えたことも要因のひとつと考えられています。
すべてのガンについて言えることではありますが、当院では、大腸ガンこそは、最も早期発見が重要ながんだと考えています。
なぜなら、大腸ガンは、他のガンと比べて、悪性度が低いものが多いからです。
その進行が緩やかで、転移なども比較的遅いガンです。早期ガンの早い段階であれば、ほぼ確実に根治することができます。
つまり、大腸ガンは、早く見つけてしまえば「死なないガンのひとつ」なのです!!
大腸ポリープの日帰り切除術
大腸カメラ検査中に発見された大腸ポリープは、その場で切除する日帰り手術が可能です。日帰り手術は入院の必要なく、その日のうちにご帰宅できて、経済的にも、時間的にも、気持ち的にも負担が少なくなります。
ポリープのタイプによって切除方法は変わりますが、ほとんどの場合切除は5分程度で、痛みや不快感はありません。切除を受けた場合、当日ご帰宅後の安静、食事・入浴・飲酒・運動・長時間移動などに数日から1週間ほどの制限があります。
なお、治療適応の判断・処置については慎重に行いますが、偶発症として、出血・穿孔(腸に穴が開く)等の可能性があり、場合によっては、数日間の入院・外科的手術(開腹手術)が必要になることもあります。その際は、適切な医療機関へご紹介いたします。
また、当院で治療困難と判断した症例については、連携する高次医療機関へご紹介します。
切除方法
当院では、ポリープの形状、大きさなどによって、適した手法で切除しています。
ポリペクトミー(HSP:hotsnarepolypectomy)
ポリープ切除で最も一般的に用いられてきた方法で、スネアというワイヤーを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけ、高周波電流で焼き切ります。高周波電流を流すことで電気メスのような止血効果が期待できますが、下部組織に熱が伝わってしまうと術後の出血や穿孔のリスクがあります。そのため、当院では下部に熱が伝わらないようなポリープに対してのみ行っています。
コールドポリペクトミー(CFP/CSP;coldforceps/snarepolypetomy)
ポリペクトミーと同様にスネアを使いますが、焼き切らずに締め付けることで切除する手法です。ポリープのサイズ・形態によっては、専用の鉗子を使用する場合もありますが、いずれにせよ、通電しないため術後の出血や穿孔リスクは低く、現在、最も術後合併症が少なく安全なポリープ切除法とされています。なお、切除の際に出血することはありますが、多くの場合、すぐに止血可能で、術後出血はほとんどありません。
内視鏡的粘膜切除術(EMR;endoscopicmucosalresection)
平坦でスネアをかけられないポリープを切除する際に用いる手法です。ポリープの下に生理食塩水や薬液を注入して膨らませて、スネアをかけて高周波で焼き切ります。下に膨隆スペースがあるので下部組織まで熱が伝わるのを最小限に抑えることができ、術後の出血や穿孔リスクを抑えることができます。場合によっては、クリップなどによる止血処置を行うこともあります。
切除後の注意点
大腸ポリープ切除は手術の1種です。帰宅後は安静を保っていただき、食事など日常生活に関する制限を数日から1週間程度守っていただく必要があります。状態などによって制限の内容や期間には個人差がありますが、術後の出血といった合併症を防ぐためには、必ず医師の指示を守るようにしてください。
食事
当日の食事は、白粥やうどんなど、消化がいいものを食べるようにしてください。
翌日から数日間は、刺激の強いもの・脂肪分の多いものを避けてください。それ以降は通常の食事で大丈夫です。
アルコール
術後1週間は禁酒してください。特に治療後48時間では、術後出血の最も多い原因の1つとなりますのでご注意下さい。
入浴
翌日から数日間は短時間のシャワー程度であれば、問題ありません。長時間湯船に浸かる入浴(長風呂)はお控えください。
運動
散歩は翌日から可能ですが、ジョギングやゴルフも含めたスポーツや運動・大きな声を出す・重い荷物を抱える・・・などの行為は腹圧がかかってしまうため1週間程度控えてください。
旅行・出張
座りっぱなしや乗り物の細かい振動は腹部に大きな負担をかけます。出張や旅行など長時間の移動は1週間程度控えてください。また、飛行機は気圧の変化が大きく出血を起こしやすくなるため、短時間でも1週間程度は控えてください。検査日を決める際には、切除の可能性も考えて検査後1週間程度は旅行や出張のスケジュールがない時期にしてください。